目標広告費用対効果(目標ROAS/tROAS)とは?
広告費用対効果(ROAS) の目標達成を目指しながら、コンバージョン値の最大化を目指します。複数のCV (販売・電話) を測定している場合、各CVアクションの価値は企業によって異なります。(コンバージョン当たりのコストを目標とするのではなく)広告費に対するリターンに基づいて入札が最適化されます。
システムの仕組み・導入タイミングの目安
どのクリックがどれだけの価値をもたらしてくれるかを予測します。
コンバージョン測定をする際には、それぞれのコンバージョンにどれだけの価値があるかをGoogleに伝えるように、コンバージョン値を設定しておく必要があります。
目標ROASを使用するキャンペーンでは、直近15日間に少なくとも30回のコンバージョンがあり、設定後2~3週間はコンバージョン値を変更せず学習期間が必要です。
※最大限の成果を得るには、直近30日間に50件以上のコンバージョン獲得を推奨
目標広告費用対効果に基づく入札をキャンペーンで使用するには、ほとんどの場合、過去 45 日間にコンバージョンを 20 件以上獲得している必要があります。検索キャンペーンは例外で、過去 30 日間にコンバージョンを 15 件以上獲得する必要があります。機械学習アルゴリズムが十分なデータに基づいて入札単価を設定できるようにし、最大限の成果を得るには、過去 30 日間に 50 回以上のコンバージョンを獲得していることが推奨されます。
「目標広告費用対効果」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
コンバージョン値のレポート作成を始めて間もない場合、またはコンバージョン値のレポート作成の方法を変えて間もない場合は、目標広告費用対効果を調整する前に、[コンバージョン] 列に新しい値を入力し、キャンペーンで同程度のコンバージョン値を獲得できるようになるまで 6 週間お待ちいただくことをおすすめします。
「目標広告費用対効果」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
予算設定を確認して、費用が 1 日の平均予算の最大 2 倍に達しても差し支えないようにすることをおすすめします。
「目標広告費用対効果」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
はじめに適切な目標広告費用対効果が設定されなかった場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。
「目標広告費用対効果」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
学習期間の目安と注意点
学習期間は2週間~4週間ほどで想定しておきましょう。設定後、様々なテストをしながら獲得をしていくため、特にCV母数が少ない状態では、日単位で見るとROASが上下することもよくあります。
注意点は、目標ROASを導入したら設定を変更しないことです。学習が進んだ後に、前提条件が大きくことなる変更をしてしまうと再度新しく学習を始め、獲得傾向が変わることもあるため注意が必要です。
ROASが悪化すると思わず設定を変更したくなると思いますが、学習期間中はぐっと我慢してください。非常に多くのシグナルをもとに学習するため、なるべくたくさんのデータ母数が必要です。
4週間経ってもCV増加が見られずCPAが高めになっている場合は、CV母数が少ない・過去のROAS(広告費用対効果)が低すぎる・除外の精査が足りないなど別の課題も想定されるため、分析と改善を行いましょう。
目標広告費用対効果(目標ROAS/tROAS)のメリット
- 設定した目標ROAS(またはそれに近い数値)を維持しながら、コンバージョンを増加させる
- 広告の運用工数を削減できる(戦略策定や広告作成などに工数を活用できる)
- 様々な”シグナル”を機械学習させることで、入札単価が自動調整される(一部、カスタム調整も可能)
目標広告費用対効果(目標ROAS/tROAS)のデメリット
- コンバージョンデータが一定数以上、蓄積されないと効果が発揮されづらい
- 過去の獲得データに対し、目標ROASが高く設定されすぎると配信量が抑制されてしまう
デメリットに対する解決策
【解決策】コンバージョンデータが一定数以上、蓄積されないと効果が発揮されづらい
例えばBtoBや高額商材、ニッチ市場の商材などでコンバージョンがそもそも少ない場合は、下記のような施策でCVデータ量を担保することができます。
- コンバージョンポイント自体を増やす
例)電話コンバージョン・問い合わせフォームの2つのみの設定
→ 上記に加え、LINE登録/資料ダウンロード/チャットボット導入など、見込み客がより敷居を低く感じるような問い合わせ手段を設ける - 本コンバージョンに到達する前のマイクロコンバージョン(中間目標となるコンバージョン)を設定して、コンバージョンのハードルを下げます。例えば、下記のようなユーザーがマイクロコンバージョンの一例です。
- 問い合わせフォーム入力ページに到達
- 資料請求フォーム入力ページに到達
- (チャットやコンバージョンに近い要素の)ボタンクリック
- サイト滞在時間が●●秒以上のユーザー(過去CVユーザーの滞在時間をもとに設定)
- ページスクロールを一定以上したユーザー
ただし、どちらの施策も「事業の利益拡大」という目的・本質から逸れないことが大事です。施策を実施した後も、マイクロコンバージョンがとれたユーザーの行動が事業利益の成長につながっているかどうかの検証もセットで行いましょう。
【解決策】過去の獲得データに対し、目標ROASを高く設定すると配信量が抑制されてしまう
運用者の意図としては広告の費用対効果がよくなるように、なるべく良いROASで獲得したい心理で設定される方が多いと思いますが、導入後に目標ROASを大きく下回ることが続いた場合、徐々に配信量が抑制されて逆にコンバージョン数が減ってしまう現象が起こります。
広告主が獲得したいROASに対し、導入前のCVデータ・CPA実績から費用対効果が悪い状態で入札戦略「目標ROAS」が導入された場合は、あまりうまく機能してくれません。
アカウントの現在の設定や過去の運用状況によって対策は変わりますが、比較的多く見受けられる2つを例にご紹介します。
解決策
- 無駄な広告費が消化されている部分(キーワード、各種設定)の除外精査、手動入札の段階で目標ROASが良い状態にします。CVデータの精度を高めて学習させた後に、目標ROASを導入する
- ポートフォリオ入札戦略で「目標広告費用対効果」を設定し、詳細設定で入札単価の上限クリック単価を調整する
クリック単価自体を低めに抑え、目標ROASの許容は余裕を持った数値に設定。CVデータ母数が増えて学習が進んだと推測できるタイミングで徐々に目標ROASを上げて調整する
2については、アカウントの構成や各種設定により良い打ち手となることもあれば、入札単価の上限を設定することで逆に制限をかけてしまうこともあります。
なんのために、どういう意図でこの設定にしているかが重要なため、戦略がない場合は1に限定してまずは改善してみることがお薦めです。
具体的な使用シーン
あなたの会社は保険を販売しています。また、サイトから無料でダウンロードできる電子書籍もあります。
CV①:問い合わせフォームCV → 営業成約率=10%
CV②:電子書籍ダウンロードCV → 営業成約率=1%
- クライアント平均客単価が10万円の場合
- 問い合わせフォームのCV値=1万円
- 電子書籍ダウンロードのCV値=1000円
上記のように、コンバージョンポイントが最終的な成約にどれぐらい貢献するかに応じて、コンバージョン値を設定します。Googleが広告費やクリック数、各コンバージョン率に基づいて、目標ROASを達成しようと入札が自動調整されます。
目標広告費用対効果(目標ROAS/tROAS)のまとめ
入札戦略「目標広告費用対効果(目標ROAS/tROAS)」とは、指定した目標ROASに近い数値を目指し、コンバージョン値を最大限に獲得できるよう、入札単価が自動的に調整される機能のことです。
便利でメリットがある反面デメリットもあり、前提条件の目安をクリアした段階で実施を検討するなど導入タイミングを見定めて実施しましょう。
大事なことは、基本的な運用(キーワード選定や除外の精査、広告文の改善、ターゲット設定)とランディングページ最適化による収益向上など地道な施策をしっかり実施することです。
しっかりした基礎を作りながら、目標コンバージョン単価を活用しましょう!