目標コンバージョン単価(目標CPA:Target CPA,tCPA)とは?
平均コンバージョン単価を目標値に抑えつつ、コンバージョン獲得の最大化を目指します(1クリックあたりの費用は考慮されません)。目標とするCPA(顧客獲得単価)に対して、クリックが利益を生むコストでコンバージョンを獲得し続ける限り、事業の成長に貢献します。
システムの仕組み・導入タイミングの目安
どのクリックがコンバージョンするか、そしてそのクリックがコンバージョンにいくらかかるかを予測します。
少なくとも1つのコンバージョンアクションに対するコンバージョン測定の設定が必要です。
アカウント内のコンバージョンデータが多ければ多いほど、Googleは目標とするCPA のコンバージョンを獲得できるようになります。ある程度のコンバージョン実績を広告アカウントに蓄積した状態で入札戦略「目標コンバージョン単価」を導入するのがお薦めです。
導入タイミングの目安としては、目安としては「直近過去30日間で100~300件のコンバージョン数(できればキャンペーンごとに1日最低2~3回のコンバージョン)」があると導入後2週間前後で成果が安定しやすくなります。
直近過去30日間で「最低でもコンバージョン数100件。出来れば、コンバージョン数200件以上」、このあたりを目安として、入札戦略「目標コンバージョン単価」の導入時期を検討しましょう。
個別のコンバージョン単価は目標額を上回ったり下回ったりする場合がありますが、全体としては設定した目標コンバージョン単価と同等になるように調整されます。これは、実際のコンバージョン単価が、Google には制御できない要因(ウェブサイトや広告の変更、広告の競合率の増加など)に左右されるためです。また、実際のコンバージョン率が推定コンバージョン率よりも高くなったり、低くなったりする可能性もあります。
「目標コンバージョン単価制」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
たとえば、目標コンバージョン単価を 1,000 円に指定した場合は、平均 1,000 円でできるだけ多くのコンバージョンを獲得できるように、入札単価が自動的に調整されます。すべての広告オークションでの掲載結果を改善するため、入札単価の調整には、デバイス、ブラウザ、地域、時間帯、リマーケティング リストなどのリアルタイムのデータが使用されます。
「目標コンバージョン単価制」入札戦略について Google広告ヘルプより引用
学習期間の目安と注意点
学習期間は2週間~4週間ほどで想定しておきましょう。設定後、様々なテストをしながら獲得をしていくため、特にCV母数が少ない状態では、日単位で見るとCPAが上下することもよくあります。
注意点は、目標CPAを導入したら設定を変更しないことです。学習が進んだ後に、前提条件が大きくことなる変更をしてしまうと再度新しく学習を始め、獲得傾向が変わることもあるため注意が必要です。
CPAが上がると思わず設定を変更したくなると思いますが、学習期間中はぐっと我慢してください。非常に多くのシグナルをもとに学習するため、なるべくたくさんのデータ母数が必要です。
4週間経ってもCV増加が見られずCPAが高めになっている場合は、CV母数が少ない・過去のCPA実績が高すぎる・除外の精査が足りないなど別の課題も想定されるため、分析と改善を行いましょう。
目標コンバージョン単価のメリット
- 設定した目標CPA(またはそれに近い数値)を維持しながら、コンバージョンを増加させる
- 広告の運用工数を削減できる(戦略策定や広告作成などに工数を活用できる)
- 様々な”シグナル”を機械学習させることで、入札単価が自動調整される(一部、カスタム調整も可能)
目標コンバージョン単価のデメリット
- コンバージョンデータが一定数以上、蓄積されないと効果が発揮されづらい
- 過去の獲得データに対し、目標CPAを低く設定されすぎると配信量が抑制されてしまう
デメリットに対する解決策
【解決策】コンバージョンデータが一定数以上、蓄積されないと効果が発揮されづらい
例えばBtoBや高額商材、ニッチ市場の商材などでコンバージョンがそもそも少ない場合は、下記のような施策でCVデータ量を担保することができます。
- コンバージョンポイント自体を増やす
例)電話コンバージョン・問い合わせフォームの2つのみの設定
→ 上記に加え、LINE登録/資料ダウンロード/チャットボット導入など、見込み客がより敷居を低く感じるような問い合わせ手段を設ける - 本コンバージョンに到達する前のマイクロコンバージョン(中間目標となるコンバージョン)を設定して、コンバージョンのハードルを下げます。例えば、下記のようなユーザーがマイクロコンバージョンの一例です。
- 問い合わせフォーム入力ページに到達
- 資料請求フォーム入力ページに到達
- (チャットやコンバージョンに近い要素の)ボタンクリック
- サイト滞在時間が●●秒以上のユーザー(過去CVユーザーの滞在時間をもとに設定)
- ページスクロールを一定以上したユーザー
ただし、どちらの施策も「事業の利益拡大」という目的・本質から逸れないことが大事です。施策を実施した後も、マイクロコンバージョンがとれたユーザーの行動が事業利益の成長につながっているかどうかの検証もセットで行いましょう。
【解決策】過去の獲得データに対し、目標CPAを低く設定すると配信量が抑制されてしまう
運用者の意図としては広告の費用対効果がよくなるように、なるべく低いCPAで獲得したい心理で設定される方が多いと思いますが、導入後に目標コンバージョン単価を超えることが続いた場合、徐々に配信量が抑制されて逆にコンバージョン数が減ってしまう現象が起こります。
広告主が獲得したいCPA数値に対し、導入前のCVデータ・CPA実績がかなり割高な状態で入札戦略「目標CPA」が導入された場合は、あまりうまく機能してくれません。
アカウントの現在の設定や過去の運用状況によって対策は変わりますが、比較的多く見受けられる2つを例にご紹介します。
解決策
- 無駄な広告費が消化されている部分(キーワード、各種設定)の除外精査、手動入札の段階で目標CPAを下げた状態でCVデータの精度を高めて学習させた後に、目標CPAを導入する
- ポートフォリオ入札戦略で目標コンバージョン単価を設定し、詳細設定で入札単価の上限クリック単価を調整する
クリック単価自体を低めに抑え、目標CPAの許容は余裕を持った高めの数値に設定。CVデータ母数が増えて学習が進んだと推測できるタイミングで徐々に目標CPAを下げる
2については、アカウントの構成や各種設定により良い打ち手となることもあれば、入札単価の上限を設定することで逆に制限をかけてしまうこともあります。
なんのために、どういう意図でこの設定にしているかが重要なため、戦略がない場合は1に限定してまずは改善してみることがお薦めです。
具体的な使用シーン
例えばリフォーム業者の場合。
Webサイト上のコンバージョンアクションが問い合わせフォームの送信とします。フォームからの問い合わせが5回あれば、受注案件として顧客を獲得できることが事前に分かっていると仮定します(営業成約率が20%) 。
自社の施工1件あたりの平均的な利益が5万円の場合、
収益を上げるには、1万円以下でフォーム問い合わせをしてもらう必要があります(5万円×20%)。
目標CPA=1万円
目標コンバージョン単価のまとめ
入札戦略「目標コンバージョン単価」とは、指定した目標CPAに近い数値を目指し、コンバージョンを最大限に獲得できるよう、入札単価が自動的に調整される機能のことです。
便利でメリットがある反面デメリットもあり、前提条件の目安をクリアした段階で実施を検討するなど導入タイミングを見定めて実施しましょう。
大事なことは、基本的な運用(キーワード選定や除外の精査、広告文の改善、ターゲット設定)とランディングページ最適化による収益向上など地道な施策をしっかり実施することです。
しっかりした基礎を作りながら、目標コンバージョン単価を活用しましょう!