3月の引越しの相談は、年が明けると急に増えます。検索結果の上位には一括見積サイトと大手の引越し会社が並び、地域の引越し業者の広告は目に留まりにくい位置に置かれがちです。単身や近距離の依頼を自社で受けられるかどうかは、繁忙期の売上と、依頼が落ち着く時期の資金繰りの両方に関わります。
REARCSは広告運用を13年続け、電話での反響が多い緊急駆けつけサービスや、暮らしのお困りごとを解決する領域の集客を担当してきました。水道修理(全国対応・月数百件規模の運用)や便利屋(月額の運用代行)も、その中に含まれます。
この記事では、その一つである引越しを取り上げます。対象は単身・近距離の小規模な引越し業者と便利屋型の引越し手伝いで、リスティング広告を使った集客の方向性と戦略の一部をご紹介します。
進め方の要点は3つです。1つ目は、大手が取りにくい単身、近距離、大型家具1点、急ぎの日程の検索語から始めることです。2つ目は、依頼の種類ごとにLPを分けて料金の目安と空き日を先に示すことです。3つ目は、見積から成約までの金額を記録して広告費と売上の釣り合いを確かめることです。2〜3月の繁忙期に向けて、1月までに何を準備するかを0から10の手順で説明します。
この記事でわかること
- 引越しの依頼が集まる月と単身・近距離の料金の幅
- 1月までに準備を終える0から10の手順と予算の規模
- 依頼の種類ごとのLPをAIで作り改善する進め方
- 公開相場と送客サービスの手数料を物差しにした問い合わせ1件の許容額
引越しの依頼は3月と4月に集中し見積の相談は1月から増えます
繁忙期の件数は1月までに整えた広告とLPで受け、落ち着く時期は周辺の仕事で埋めます
集客の計画を立てる前に、依頼が集まる月と1件の料金の幅を把握します。引越しは年に数回の時期に依頼が集中し、荷物の量、距離、日付によって料金に幅があります。この2つが分かると、検索語の分け方と月ごとの予算の配分を決められます。
3月の引越しの件数は通常月の約2倍です
国土交通省と全日本トラック協会は、毎年春に引越しの時期をずらすよう呼びかけています。その案内では、3月の引越しの件数は通常月の約2倍とされています。2026年の呼びかけでは、3月14日から4月4日までの3週間が特に混雑する時期とされました。
総務省の人口移動報告でも、2025年3月に市区町村をまたいで移動した人は約90万5千人で、4月の約68万4千人を上回っています。進学、就職、転勤が重なる3月に、人の移動が集まります。
3月の引越しに向けた見積の相談は1月から2月に増えます
3月に引越す人は、1月から2月にかけて新居を決め、見積を取り始めます。引越し業者向けの広告を解説する代理店の記事でも、3〜4月の繁忙期に向けて1〜2月ごろから広告を始めるよう勧めています。広告とLPを12月中に動かし始め、1月から配信を強めると、見積の相談が増える時期に間に合います。
秋の9月から10月は転勤の時期で、春に次いで依頼が増える月とされています。5月から6月と11月から12月は依頼が落ち着くため、家具の移動、物の移送、不用品の引き取りの広告に予算を移す時期にあてます。
単身の近距離の料金は荷物の量と時期によって幅があります
一括見積サイト2社が公開している相場では、同じ市区町村程度(15km未満)の単身の引越しは、通常期で約2.7万〜5.2万円です。繁忙期は約3.6万〜6.3万円で、通常期の約1.2〜1.3倍です(2社の相場から当社で計算)。
同じ公開相場では、2人家族の平均は通常期で約8万円、繁忙期で約10.7万円です。便利屋型の引越し手伝いや軽トラックでの引越しは、マッチングサイトの相場が参考になります。10kmなら8,200〜20,000円、40kmなら14,200〜27,000円の幅です。
荷物の量と距離が同じでも、3月下旬の土日や大型家具の吊り上げがあると料金は上がります。公開されている料金の幅をもとにした許容額の計算は、予算と許容額の章でまとめて示します。時期と料金の幅が分かったところで、次は何をどの順で進めるかを0から10の手順で並べます。
0から10の手順は1月までに準備を終えて配信の初月に実測します
12月の実測で許容額を決め、見積の相談が増える1月から予算を上げます
引越しは、問い合わせ、見積、成約、作業日の順に進む仕事です。繁忙期が始まってから広告を出すと、数字がそろう前に見積の相談が増える時期を迎えます。11月に準備を始めて12月に小さな予算で実測すると、1月には自社の数字で問い合わせ1件の許容額を決められます。
当社が担当する場合の0から10の手順を、期間と規模の目安とあわせて次の表にまとめました。2026年11月に始める場合の月で書いています。
| 手順 | やること | 期間の目安 | 規模の目安 |
|---|---|---|---|
| 0 今の数字の把握 | 媒体ごとの見積依頼数、成約率、荷物量ごとの客単価、粗利率を前年の1月〜4月分そろえる | 11月の1週目 | 過去の見積台帳と広告の管理画面 |
| 1 計測と台帳の準備 | 電話、見積フォーム、LINEの計測と、成約と金額を記録する台帳を当社が用意する | 11月の1〜2週目 | 計測用の電話番号とクリック識別子の保存 |
| 2 広告グループの設計 | 行き先のLPごとに4つの広告グループに分け、除外語を登録する | 11月の2週目 | 単身・近距離、二人暮らし・家族、大型家具1点・物の移送、急ぎの日程 |
| 3 LPの制作 | AIを使ったLP制作で、依頼の種類ごとのLPを同じ型から作る | 11月の2〜4週目 | LP4本 |
| 4 配信の開始と実測 | 問い合わせ1件の上限を置かずに小さな予算で配信し、4つの数字を測る | 12月 | 初月(12月)の広告費は120,000円(仮の計算例) |
| 5 検索語の整理 | 最初の2週間は毎日、その後は週1回、検索語を見て除外語を足す | 12月〜1月 | 12月〜1月は「住所変更」「転出届」「段ボール もらう」などを除外語に足す |
| 6 許容額の決定と成約データの取り込み | 12月の実測と荷物量ごとの単価から許容額を決め、見積、成約、金額を広告の管理画面に戻す | 1月 | 1月に単身と2人家族の許容額を決め、以後は週1回、見積と成約を取り込む |
| 7 LPの改善(LPO) | 料金の目安、空き日の見せ方、見積の受け方を比べてCVRを上げる | 1月〜2月 | 1月〜2月に単身・近距離のLPで空き日の表示の位置を1か所ずつ比べる |
| 8 繁忙期と閑散期の予算配分 | 空き日に合わせて入札を調整し、埋まった日付の広告を絞る。5月以降は家具の移動と物の移送へ移す | 2月〜5月 | 3月中旬以降は空き日のある日付に寄せる |
| 9 地図検索とSEO記事 | 口コミと作業写真、作業の記録をもとにした記事を積み上げる | 12月〜翌年の夏 | 5月〜6月に3月〜4月の作業記録から、単身の近距離と大型家具1点の記事を書く |
| 10 媒体と受付の見直し | 媒体ごとの1件の粗利を比べ、一括見積サイトの比率と受付の仕組みを見直す | 4月〜5月 | 4月〜5月に1月〜4月の1件の粗利を媒体ごとに並べ、9月〜10月の転勤期の配分を決める |
手順0と1で前年の繁忙期の数字と計測をそろえます
最初に、前年の1月から4月に、どの媒体から何件の見積依頼があり、何件が成約し、1件いくらの売上になったかをそろえます。単身、二人暮らし、家族、家具1点のように荷物量ごとに分けると、単価の違いが見えてきます。この数字をもとに、問い合わせ1件にかけてよい広告費を考えます。
計測では、広告の電話ボタンとLPの電話番号、見積フォーム、LINEからの問い合わせを、広告と検索語ごとに記録します。仕組みは当社が用意し、中身は計測の章で説明します。
手順2から5で広告とLPを用意して12月に実測します
広告グループは、行き先のLPごとに4つに分けます。単身・近距離、二人暮らし・家族の近距離、大型家具1点・物の移送、急ぎの日程の4つです。検索した人の状況に合うLPが開くと、料金の目安と空き日を探す手間が減ります。
12月は依頼が落ち着く時期で、繁忙期の前に少ない予算で数字を集められます。初月は問い合わせ1件の上限を置かずに配信し、クリック単価、問い合わせ率、獲得単価、成約率をその会社の数字で測ります。
手順6から10で許容額を決めて空き日と成約の数字で予算を動かします
1月は、12月の実測と荷物量ごとの単価から問い合わせ1件の許容額を決め、成約データの取り込みを始めます。管理画面に成約の金額が入ると、自動入札は成約につながりやすい検索へ予算を寄せていきます。同じ時期に、LPの料金の見せ方や空き日の表示を入れ替えてCVRを比べます。
2月中旬を過ぎると、3月下旬の枠から埋まっていきます。埋まった日付を探す人への広告は空き日の案内に切り替え、人と車の手配が上限に近づいたら単価の低い依頼の入札を下げます。
5月以降は、家具の移動、物の移送、不用品の引き取りの広告に予算を移し、地図検索の口コミとSEO記事を積み上げます。次の章で、手順2の検索語の分け方を具体的に見ていきます。
検索語は単身と近距離と大型家具1点と急ぎの日程から入り除外語を先に登録します
条件がはっきりした検索語ほど、料金の目安を示しやすい見積の相談につながります
「引越し」「引越し 見積もり」のような一般語は、一括見積サイトと大手の引越し会社が上位と広告枠を占めます。地域の業者は、依頼の条件と地域名を組み合わせた検索語を中心にすると、同じ予算で受けられる見積の相談を増やせます。一般語の扱いは、条件付きの検索語で成約の数字がそろってから決めます。
依頼の条件がはっきりした検索語を4つの広告グループに分けます
「単身 引越し 近距離 ○○市」「冷蔵庫だけ 運ぶ」のような検索は、荷物の量や距離がはっきりしています。料金の目安を示しやすく、電話や見積フォームで条件を確かめやすい依頼です。広告グループは、似た検索語と広告文をまとめて管理する単位です。
広告グループは、行き先のLP(着地先のURL)が変わるところで分けます。4つに分けるのは、それぞれに専用のLPを用意するからです。同じLPに着地させる検索語は1つの広告グループにまとめると、データが集まり、入札の学習と判断が早く進みます。
地域名ごとに広告グループを分けるのは、地域ごとに専用のLPを作る場合の分け方です。地域ごとの配信の差は、まず配信地域の設定と検索語の一覧で確かめます。
表の検索語から始めて成約の数字を見て広げます
引越しの検索語は、荷物の量、距離、日付の組み合わせで広がります。次の表の上の行から順に始め、成約が出た語を残して広げていきます。
| 広告グループ(行き先のLP) | 取る検索語の例 | 依頼の中身 | 始める時期 |
|---|---|---|---|
| 単身・近距離 | 単身 引越し ○○市/一人暮らし 引越し 近距離/市内 引越し 業者/学生 引越し ○○市 | 荷物の量が読みやすく、1日に回れる件数が多い | 12月から |
| 二人暮らし・家族の近距離 | 二人暮らし 引越し 近距離/家族 引越し 隣の市/引越し 業者 ○○市 2人 | 1件の売上が単身より大きい | 12月から |
| 大型家具1点・物の移送 | 冷蔵庫だけ 運ぶ/ベッド 1点 運搬/タンス 移動 業者/洗濯機 運ぶ 近距離 | 少ない作業でも、2階からの搬出や分解で単価が上がる | 通年 |
| 急ぎの日程 | 急ぎ 引越し 業者/引越し 即日 ○○市/3月 引越し 空き 業者 | 空き日と料金の条件を示せると相談につながる | 1月から |
フレーズ一致(Phrase Match)は、登録した語の意味を含む検索に広告を出す設定です。最初は条件付きの語をフレーズ一致で始め、検索語の一覧を見て成約につながる語を確かめます。
急ぎの日程の検索語は、空き日の確かめ方と受けられる条件をLPに書ける場合に出します。広告文では作業の時刻を約束する書き方を避け、空き状況を電話で確かめる案内にします。
除外する検索語を配信の前に登録します
除外キーワード(Negative Keywords)は、広告の表示対象から外す検索語です。引越しは手続きや準備を調べる検索がとても多いため、配信を始める前に登録しておきます。
| 除外の種類 | 除外語の例 | 外す理由 |
|---|---|---|
| 仕事を探す人 | 求人/アルバイト/バイト/日払い/ドライバー 募集 | 働き口を探す検索です |
| 自分で運ぶ人 | 自分で/レンタカー 軽トラ/台車 レンタル/段ボール もらう | 自分で運ぶ方法や道具を探す検索です |
| 手続きを調べる人 | 住所変更/転出届/手続き 一覧/挨拶 品物 | 手続きや準備の情報を探す検索です |
| 特定の会社を探す人 | 一括見積サイトや大手の会社名 | 名前を決めて探している検索です |
| 対応外の仕事 | 海外 引越し/ピアノ 輸送(対応外の場合)/長距離(対応外の場合) | 対応できる仕事に絞ります |
| 対応外の地域 | 遠方の市区町村名 | 作業の車が回れる範囲に絞ります |
検索語句レポート(Search Terms Report)は、実際に広告が表示された検索語の一覧です。当社が担当する場合は、配信を始めてから2週間は毎日、その後は週1回この一覧を見て除外語を足します。検索語が決まったら、次は依頼の種類ごとのLPを用意します。
LPは依頼の種類ごとに作りAIを使った制作と改善でCVRを高めます
問い合わせの割合を上げたうえで、成約の金額から広告費と利益の釣り合いを確かめます
引越しの依頼者は、料金、空き日、見積の手軽さの3つを最初の画面で確かめます。一括見積サイトでは同じ依頼に複数の会社から連絡が来るため、自社のLPで料金の目安と条件を先に示すと、比べる手間が減ります。
荷物量ごとの料金の目安と料金が変わる条件を最初の画面に置きます
LPの最初の画面には、地域名、荷物量ごとの料金の目安、対応エリア、電話と見積のボタンを置きます。料金の目安は「単身・荷物少なめ・同じ市内」のように、荷物の量と距離と時期の条件を添えて書きます。
料金が変わる条件は、階段とエレベーターの有無、大型家具の分解と組立、2階からの吊り上げ、3月下旬の土日などです。条件を先に書くと、見積の後の行き違いが減ります。続けて、作業者の顔写真、作業の写真、口コミ、荷物の損害への補償の内容、会社の所在地、支払い方法を並べます。
依頼の種類ごとのLPはAIを使った制作で同じ型から作ります
当社が担当する場合は、AIを使ったLP制作で共通の型を作り、依頼の種類ごとに見出し、写真、料金の目安、よくある質問を差し替えます。1本ずつ一から作る場合より、4本をそろえる日数と費用を抑えられます。
単身・近距離のLPには学生と新社会人の相談の流れを、二人暮らし・家族のLPには荷物の一覧の作り方を載せます。大型家具1点・物の移送のLPには品目ごとの料金の目安と分解や吊り上げの条件を、急ぎの日程のLPには空き状況の確かめ方と電話で聞く項目を載せます。
LPO(LPの改善)は、見出し、写真、料金の見せ方を入れ替えて、問い合わせの割合を上げる取り組みです。CVR(コンバージョン率)は、LPを見た人のうち電話や見積フォームで問い合わせた人の割合を指します。問い合わせが増えても成約率が下がれば利益は減るため、成約の数字とあわせて判断します。
CPA(獲得単価)は、問い合わせ1件あたりにかかった広告費を指します。CPAを下げたうえで、ROAS(広告費用対効果)とROI(投資利益率)が上がっているかまで確かめます。ROASは広告費に対する売上の倍率で、ROIは広告費と運用の費用を合わせた投資に対して残った利益の割合です。
見積は写真とLINEとフォームで手軽に受けます
単身の依頼者の中には、自宅での見積に時間をとりにくい人もいます。部屋の写真や家具の一覧をLINEや見積フォームで送ってもらい、概算を返す流れを用意します。
見積フォームには、希望日を第3希望まで書ける欄と、出発地と到着地の市区町村、階数、大型家具の品目を選べる欄を置きます。入力の項目を絞ると、スマートフォンからでも送りやすくなります。
家具の移動と物の移送と不用品の引き取りを同じ窓口で受けます
引越しの前後には、古い家具や家電の処分、新居での家具の配置換えといった相談が重なります。見積フォームには「不用品の引き取り」「家具の分解と組立」「エアコンの取り外し」「荷物の一時預かり」を選べる欄を置きます。依頼者は、まとめて頼めるかを見積の前に確かめられます。
同時の依頼が増えると、クリック単価は同じままで1件の売上が上がります。ただし、不用品の引き取りには一般廃棄物や古物の扱いの決まりがあり、自社の許可の範囲で受けるか、許可を持つ業者と組む形にします。不用品回収の検索語と除外語は、不用品回収の広告でCPAを下げる方法で詳しく書いています。
依頼が落ち着く5月から6月と11月から12月は、「タンス 移動 業者」「冷蔵庫 運ぶ 業者」のような家具の移動と物の移送の広告を前に出します。季節の影響を受けにくい依頼のため、月ごとの売上の差を小さくできます。LPが整ったら、次は配信の地域と曜日と時間帯を決めます。
配信の地域と曜日と時間帯は車と人が回れる範囲に合わせて設定します
広告を出す範囲は、見積に行けて作業の車と人を回せる範囲と同じにします
配信の設定によって、同じ広告費で受けられる見積の相談の数が変わります。引越しでは、作業の車と人を回せる範囲と、電話や見積を受けられる時間を基準に考えます。以下、地域、曜日と時間帯、入札の順に説明します。
地域は出発地と到着地の両方で考えます
配信地域は、拠点から作業の車で無理なく往復できる市区町村から始めます。近距離の引越しは、出発地と到着地の両方が範囲に入る依頼が中心です。
地域の設定は「その地域にいる人」に絞る形を選びます。初期の設定では、その地域に関心を持つ人にも広告が表示されることがあります。ただし、遠方から転入する人が到着地の業者を探す例もあるため、到着地の地域名を含む検索語は、成約の結果を見て扱いを決めます。
市区町村ごとに配信の結果を分けて見ると、地域ごとの費用と見積の相談の数が分かります。戻りの車が空く区間がある場合は、その区間の依頼を受ける広告を出す方法もあります。
曜日と時間帯は見積を受けられる時間に合わせます
引越しの見積は、仕事や学校が終わった平日の夜や週末に探す人もいます。電話に出られる時間は電話を中心にし、作業中や夜は見積フォームとLINEで受けるLPに切り替えます。
夜に受けた見積依頼には、翌朝に折り返す時刻をLPに書きます。一括見積サイトでは複数の会社から連絡が届くため、自社の広告から来た依頼にも早く折り返すと、比べられる前に話を進めやすくなります。
入札は見積依頼の記録がたまってから自動入札に移します
入札は、12月はクリックを集める設定で始め、検索語ごとのデータを集めます。見積依頼の計測がたまってから、成約を目標にする自動入札に切り替えます。自動入札は、成果につながる見込みに合わせて、広告の仕組みが入札の金額を調整する機能です。
12月にデータを集め始めると、見積の相談が増える1月の前に自動入札へ切り替えられます。目標の獲得単価の置き方は、目標CPAの記事にまとめています。
電話と見積フォームの計測と成約データの取り込みで見積から成約までを追います
成約の金額まで戻すと、単身と家族と家具1点の広告を利益で比べられます
広告の管理画面に見えるのは問い合わせまでで、見積と成約は会社の台帳の中にあります。この2つをつなぐと、どの依頼の種類と検索語に広告費を使うかを判断しやすくなります。ここでは、手順1と手順6の中身を説明します。
計測の仕組みは当社が用意します
この計測の仕組みは当社が用意します。電話の記録には、広告の電話番号アセットに付く計測用の転送番号と、LPに置く計測用の電話番号(外部の電話計測ツール)を使います。
成約については、当社が用意する成約台帳(表計算)にクリック識別子、成約日、金額を記入していただき、当社が定期的に広告の管理画面へ取り込みます。会社側で用意するのは、台帳への記入と見積の結果の共有だけです。
電話番号アセットは、広告に電話番号を出し、スマートフォンならタップでそのまま電話をかけられる設定です。成果として数えるのは、間違い電話や営業電話を除くため、一定の通話時間を超えた電話だけです。見積フォームの送信とLINEの追加も、それぞれ別の成果として数えます。
見積と成約と金額を広告に戻します
オフラインコンバージョン(Offline Conversion)は、広告の外で決まった成約を広告の管理画面に戻す仕組みです。問い合わせの時に残したクリック識別子(GCLID)と、成約日と金額を定期的に取り込みます。
見積の段階も成果として取り込むと、成約までの日数が長い3月の依頼でも入札の判断が早くなります。成約の金額まで戻すと、単身の依頼と家族の依頼、家具1点の依頼を分けて入札できます。売上と広告費の釣り合いの見方は、目標ROASの記事で説明しています。
成約日と作業日を分けて記録します
3月の引越しは、1月に成約して作業日が2か月先になる依頼もあります。台帳には、問い合わせの日、見積の日、成約日、作業日を分けて記録します。成約の時点で広告に戻すと、作業日を待たずに入札の判断に使えます。
キャンセルや日程の変更も同じ台帳に残します。依頼の種類ごとにキャンセルの割合を見ると、LPに書く見積の有効期限や日程変更の条件を決める材料になります。成約まで追えるようになったところで、次は公開相場と自社の単価から広告費の許容額を考えます。
広告費の許容額は公開相場と送客サービスの手数料を物差しに試算します
単身の依頼だけでは許容額が小さく、家族の依頼や同時の依頼で1件の売上を上げると広告で受けやすくなります
問い合わせ1件にかけられる広告費(許容額)は、1件の売上、広告費に充てる比率、成約率の3つから試算できます。引越しでは、検索語ごとのクリック単価と問い合わせ率を12月に実測し、料金は公開相場の幅から置きます。この章では、公開されている数字を幅と出典の種類で示し、そのうえで仮の計算例を置きます。
送客サービスの手数料は広告費の比率を考える物差しになります
一括見積サイトの多くは、利用者の見積依頼を複数の業者に届け、業者は紹介を受けた件数に応じて費用を払う仕組みです。引越し業者向けの集客を解説する代理店の記事では、1件の依頼が同時に10〜15社へ届くとされています。
成約したときだけ手数料がかかるマッチングサイトもあり、引越しの事業者向けの案内では成約手数料が20%(税抜)とされています。自社で広告を出す場合も、この手数料の水準は広告費の比率を考える物差しの一つになります。
この記事の試算では、広告費の比率を売上の20%と置きます。この20%は計算のための仮定で、自社の粗利率に合わせて置き直します。
単身と家族と便利屋型の料金の幅を公開相場で確かめます
一括見積サイト2社の公開相場では、同じ市区町村程度(15km未満)の単身の引越しは、通常期で約2.7万〜5.2万円、繁忙期で約3.6万〜6.3万円です。同じ都道府県程度(50km未満)では、通常期で約3.0万〜5.3万円、繁忙期で約4.4万〜7.0万円です。
2人家族は、通常期の平均が約8万円、繁忙期の平均が約10.7万円という公開相場があります。軽トラックでの引越しや引越し手伝いは、マッチングサイトの相場で、10kmなら8,200〜20,000円、40kmなら14,200〜27,000円です。
どの相場も、荷物の量、階数、大型家具の有無で金額が変わります。自社の単価は、前年の見積台帳で荷物量ごとに確かめます。
クリック単価と問い合わせ率は12月に実測します
引越し業者向けの代理店の解説では、検索広告のクリック単価は、競合の多い都市部で1クリック200〜500円超とされています。引越しに限った獲得単価と、クリックから問い合わせになる割合は、12月の配信で自社の数字を測ります。
公開されている運用の事例には、1月から3月に月50万円の広告費をかけて月350万円の売上につながった例があります。LPと広告の見直しで、問い合わせ1件の獲得単価が5,000円から3,000円に下がった例もあります。どちらも1社の事例で、商圏や受付の体制によって数字は変わります。
獲得単価は「クリック単価÷問い合わせになる割合」で計算します。クリック単価と問い合わせになる割合を組み合わせた獲得単価を、次の表に並べました(当社の計算)。
| クリック単価(仮の計算例) | 問い合わせになる割合3% | 5% | 10% |
|---|---|---|---|
| 200円 | 約6,700円 | 4,000円 | 2,000円 |
| 300円 | 10,000円 | 6,000円 | 3,000円 |
| 500円 | 約16,700円 | 10,000円 | 5,000円 |
問い合わせになる割合が3%と10%では、獲得単価が3倍以上違います。この割合はLPの料金の見せ方と見積の受け方で大きく変わるため、12月に実測して自社の値を確かめます。
問い合わせから成約する割合は、この記事の試算では30%と仮定します。実際の成約率は、12月の実測と台帳の記録で確かめます。
仮の計算例で依頼の種類ごとの許容額と月の利益を比べます
単身と2人家族の料金、クリック単価、成約率は、繁忙期の2月を例に置いた仮の数字です。前提は、公開資料の幅の中に置きました。
- 対象の月は、見積の相談が増える2月とします
- 月の広告費は240,000円とします(代理店の解説にある月10万〜30万円の範囲)
- クリック単価は300円(代理店の解説の200〜500円超の中ほど)、問い合わせになる割合は5%と仮定し、獲得単価は6,000円になります
- 成約率は30%と仮定します
- 1件の売上は、繁忙期の単身の近距離を50,000円、2人家族を100,000円とします(公開相場の幅と平均から置いた値)
- 粗利率は40%と仮定します
許容額の式は「問い合わせ1件の許容額=1件の売上×広告費に充てる比率×成約率」です。粗利率40%なら、売上の20%は粗利の半分にあたります。
| 依頼の種類(仮の計算例) | 1件の売上 | 成約1件にかけられる広告費(売上の20%) | 問い合わせ1件の許容額(成約率30%) | 獲得単価6,000円との比較 |
|---|---|---|---|---|
| 大型家具1点の移送 | 15,000円 | 3,000円 | 900円 | 大きく下回る |
| 単身の近距離(通常期) | 35,000円 | 7,000円 | 2,100円 | 大きく下回る |
| 単身の近距離(繁忙期) | 50,000円 | 10,000円 | 3,000円 | 下回る |
| 2人家族(通常期) | 80,000円 | 16,000円 | 4,800円 | やや下回る |
| 2人家族(繁忙期) | 100,000円 | 20,000円 | 6,000円 | 同じ水準 |
表の右端は、仮の計算例の獲得単価6,000円と比べた結果です。単身や家具1点の依頼だけでは許容額が獲得単価を下回り、繁忙期の2人家族でようやく釣り合います。検索語は単身と近距離から入りながら、家族の依頼と同時の依頼で1件の売上を上げる組み立てにします。
| 項目(2月・仮の計算例) | 単身の近距離が中心の場合 | 半分が2人家族の場合 |
|---|---|---|
| 広告費 | 240,000円 | 240,000円 |
| クリック数(クリック単価300円) | 800クリック | 800クリック |
| 問い合わせ(問い合わせになる割合5%) | 40件 | 40件 |
| 獲得単価 | 6,000円 | 6,000円 |
| 成約(成約率30%) | 12件 | 12件 |
| 成約の内訳 | 単身12件(50,000円) | 単身6件と2人家族6件(100,000円) |
| 売上 | 600,000円 | 900,000円 |
| 売上に対する広告費の比率 | 40% | 約27% |
| ROAS(売上÷広告費) | 250% | 375% |
| 粗利(40%) | 240,000円 | 360,000円 |
| 粗利から広告費を引いた額 | 0円 | 120,000円 |
単身の近距離が中心なら、広告費は売上の40%で、粗利から広告費を引くと残りは0円です。半分が2人家族になると約27%になり、120,000円が残ります。
クリック単価が幅の高い側の500円で、問い合わせになる割合が3%なら、獲得単価は約16,700円です。同じ広告費で問い合わせは約14件、成約は4件ほどにとどまり、単身中心なら粗利から広告費を引くと約16万円の赤字になります(当社の計算)。
| 項目(半分が2人家族の場合・仮の計算例) | 運用の費用を広告費の15%とした場合 | 運用の費用を広告費の20%とした場合 |
|---|---|---|
| 売上(単身6件と2人家族6件) | 900,000円 | 900,000円 |
| 粗利(40%) | 360,000円 | 360,000円 |
| 広告費 | 240,000円 | 240,000円 |
| 運用の費用 | 36,000円 | 48,000円 |
| 広告費と運用の費用の合計(売上に対する比率) | 276,000円(約31%) | 288,000円(32%) |
| 粗利から広告費と運用の費用を引いた残り | 84,000円 | 72,000円 |
| ROI(残り÷広告費と運用の費用の合計) | 約30% | 25% |
運用の費用は、運用代行の手数料の帯(広告費の15〜20%)で計算しました。引越し業者向けの代理店の公開資料では広告費の20%が多く、15%は代理店の公開料金表にある下の端の値です。広告費240,000円なら運用の費用は36,000〜48,000円で、粗利から広告費と運用の費用を引いた残りは月72,000〜84,000円です。
この表に自社の単価と成約率を入れると、自社で利益がどう残るかを確かめられます。見積の受け方の改善で成約率を30%から上げられると、同じ広告費で残る利益が増えます。
公開資料の数字は他社の例で、自社の数字は地域、時期、荷物量、受付の体制によって上下します。当社が担当する場合は、12月は問い合わせ1件の上限を置かずに配信し、クリック単価、問い合わせ率、獲得単価、成約率を実測します。
1月に、12月の実測と台帳にある成約の金額から許容額を決めます。式は前の表と同じで、3つの数字を自社の値に置き換えます。決めた許容額は、広告グループごとの目標の獲得単価として自動入札に反映します。
実測の獲得単価が許容額を超えた広告グループは、検索語、LP、配信地域の順に見直し、そのあとで予算を戻します。繁忙期の月は、空き日のある日付と、家族の依頼につながる広告グループに予算を寄せます。
自社で受ける比率は一括見積サイトと比べながら繁忙期ごとに上げます
配分は媒体ごとの1件あたりの粗利で、繁忙期のたびに見直します
「引越し 見積もり」で検索すると、一括見積サイト、大手の引越し会社、マッチングサイトが並びます。大手は家族の引越しや遠距離を料金表と全国の拠点で受けており、地域の業者は単身、近距離、家具1点、日付の急な依頼で強みを出せます。地域の業者は、媒体を使い分けながら自社で受ける件数の比率を上げていきます。
一括見積サイトは自社の集客が整うまで件数を支えます
一括見積サイトは、自社の広告やLPが整う前から見積の相談を得られます。家族の引越しや遠距離のように、自社の広告で受けにくい依頼を補う経路にもなります。繁忙期に人と車の空きを埋める手段として役立つ一方、紹介料と値引きの両方で手元に残る額が減る場合があります。
1件あたりの粗利を、自社の検索広告と同じ基準で計算し、繁忙期のたびに並べて比べます。紹介料と広告費を同じ物差しで比べると、自社の集客へ移す順番を決められます。
地図検索とSEO記事は作業の記録から積み上げます
地図検索対策(MEO)は、Googleマップの検索結果に自社の情報を表示させるための取り組みです。作業の写真と口コミを増やし、対応する地域と依頼の種類を正しく登録します。一括見積サイト経由のお客様にも、作業の後に口コミを書いてもらうよう依頼します。
SEO記事は、広告枠の下に並ぶ検索結果から読む人を呼ぶ記事です。評価される記事には、自社の作業で得た一次情報と、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が求められます。さらに、書き手の専門性、第一人者としての認知、サイト名の信頼という信用の3要素を、会社として担保する設計にします。
当社が担当する場合は、作業の写真と記録、お客様の声を台帳から記事とLPへ随時反映する仕組みを、AIを使ってお客様の会社の中に実装します。「○○市から△△市への単身の引越し」のように地域と依頼の種類ごとに記事を増やしても、一つひとつに実際の作業の記録が入り、読む人の判断に役立つ記事になります。
受付のシステム化で夜の見積依頼から作業日の確定までをつなぎます
受付のシステム化は、電話、見積フォーム、LINEで聞いた内容を同じ台帳に記録し、見積と作業日の確定までつなぐ仕組みです。聞き取りの項目がそろうと、夜に受けた依頼も翌朝の見積に進められます。同じ台帳の記録を、成約データの取り込みにもそのまま使えます。
広告運用から受付のシステム化まで当社は7つの領域を担当します
REARCSは広告運用のほかに、LPの制作と改善、SEO記事、AIを使った業務のDX、受付のシステム化を自社の事業で開発し、運用しています。引越し業者の集客では、次の7つの領域を組み合わせて担当します。
当社が自社事業で開発し運用している領域を、集客の段階に合わせて組み合わせます
配分の見直しは、繁忙期の前後に、媒体ごとの件数、成約率、1件の粗利を並べて行います。電話で受ける業種での計測の進め方は、水道修理の集客記事でも紹介しています。ここまでの内容について、引越し業者が迷いやすい点を質問の形でまとめます。
引越しの集客でよくある質問
迷った時は、依頼の種類ごとの1件の粗利と、作業の車と人を回せる範囲をもとに考えます
3月の引越しに向けた広告はいつから始めればよいですか?
12月に小さな予算で始め、1月から配信を強める形を勧めます。12月に検索語と計測を確かめておくと、見積の相談が増える1月から2月に、自社の数字で予算を動かせます。
引越しの広告は月にいくらの予算から始めますか?
受けたい件数と荷物量ごとの単価から決めます。代理店の公開資料にある月の広告費の目安と仮の計算例は、許容額を試算する章に載せています。12月は上限を置かずに実測し、1月に自社の数字で許容額を決めます。
単身の依頼だけを広告で集めても利益は残りますか?
仮の計算例では、単身の依頼だけの月は粗利から広告費を引いた額が0円でした。単身と近距離の検索語から入りながら、2人家族の依頼や不用品の引き取りなどの同時の依頼で1件の売上を上げると、利益が残りやすくなります。
軽トラックでの引越し手伝いを広告で集める時に気を付けることはありますか?
有償で荷物を運ぶ場合は、軽自動車なら貨物軽自動車運送事業の届出、普通のトラックなら一般貨物自動車運送事業の許可が要ります。不用品の引き取りにも別の許可の決まりがあるため、LPには自社が持つ届出と許可の範囲で受ける作業を書きます。
一括見積サイトをやめて自社の広告だけで集めてもよいですか?
自社で受ける件数が安定してから、繁忙期ごとに比率を下げる形を勧めます。検索広告と地図検索の件数が増えるまでは、一括見積サイトが家族の引越しや遠距離の依頼を補います。1件あたりの粗利を媒体ごとに比べ、自社で受ける比率を上げていきます。
依頼の種類ごとにLPを分けると制作の手間はどのくらい増えますか?
AIを使ったLP制作で共通の型を作るため、2本目以降は見出し、写真、料金の目安、質問の差し替えが中心です。依頼の種類ごとに検索した人の状況とページがそろうため、CVRの改善を種類ごとに進められます。
まとめと繁忙期前の無料アカウント診断のご案内
依頼の種類と月と荷物量に分けて考えると、1月までに準備する内容を整理できます
引越しの集客は、大手が取りにくい単身、近距離、大型家具1点、急ぎの日程の検索語から始めます。3月の引越しに向けた見積の相談は1月から2月に増えるため、11月に準備を始めて12月に実測し、1月から予算を上げます。LPでは荷物量ごとの料金の目安と空き日を示し、家族の依頼と同時の依頼で1件の売上を上げて、広告費と売上の釣り合いを確かめます。
最後に、引越しの広告アカウントを点検するための10項目を並べます。当てはまらない項目から順に手を付けると、繁忙期までに直す順番を整理できます。
- 行き先のLPごとに広告グループが分かれている
- 単身・近距離、二人暮らし・家族、大型家具1点、急ぎの日程のLPがある
- 作業できる市区町村名を含む検索語を登録している
- 求人、自分で運ぶ方法、手続きなどの除外キーワードを登録している
- 広告文に依頼の条件、料金の目安、対応地域が入っている
- LPに荷物量ごとの料金の目安と料金が変わる条件がある
- 3月の上旬、中旬、下旬の空き日の目安を示している
- 見積フォームに不用品の引き取りや家具の分解の選択肢がある
- 電話を通話時間付きで計測している
- 見積、成約、金額を広告の管理画面に取り込んでいる
REARCSでは、このチェックリストの各項目を、広告運用の担当者が実際のアカウントで確認する無料アカウント診断を行っています。1月からの見積の相談に備えて、今の設定でどこから直すかを知りたい方はご利用ください。